新卒採用の歴史 ~ 日本独特の文化
超売り手市場といわれている昨今の新卒採用。
企業が学生を選ぶという立場から、選ばれる立場へと変わってきています。近年ではダイレクト・リクルーティングなど新たな採用の手法が登場、採用方法自体にも変化が見られます。このコラムではそんな日本の新卒採用の歴史を、複数回に分けて紐解いていきます。
新卒採用以前
新卒採用という概念が生まれる前はどのような採用が行われていたのでしょうか?
たとえば江戸時代。ドラマの舞台となることが多い時代です。江戸時代においては、雇われて働くことを「奉公」と表現しており、奉公人とは今でいうサラリーマンに当たります。この頃は、いわゆる縁故採用が多かったといわれています。
新卒採用の始まり
新卒採用が始まったのは、明治12(1879)年だといわれています。
「文明開化」と呼ばれる、西洋の文化が日本に取り入れられ近代化が進んだ時代です。当時、大卒者は官僚や学校の先生になる人がほとんどでしたが、日本三大財閥の1つである三菱が日本で初めての新卒採用を行います。明治28(1895)年になると、三菱と三井が定期的に新卒者を採用する「新卒一括採用」を始めますが、まだ一般的ではありませんでした。
その後、大正9(1920)年の第一次世界大戦終結・大正12(1923)年の関東大震災の影響によって不況が訪れます。これにより、求職者に対して求人数が足りなくなるという状況が発生しました。そんな中で、各企業は優秀な学生を採用しようと、選抜試験を行うようになります。以降、日本において新卒一括採用が一般化していきました。
今でこそ新卒採用は当たり前のように行われていますが、始まりの背景にはこんな歴史があったんですね。次回のコラムでは、昭和の新卒採用についてお届けする予定です。
(北村翔太)